「禁煙外来に行ってみたいけれど、病院の案内を見ても『禁煙科』のような診療科が見当たらない」「内科でいいのか、呼吸器の専門のところに行くべきなのか迷っている」。いざ受診しようと思ったとき、どこに行けばよいのかわからず、そのまま先延ばしにしてしまう方は少なくありません。
実は、「禁煙外来」は診療科の名前ではなく、禁煙治療を行う外来の通称です。そのため、内科や呼吸器内科など、さまざまな診療科の医療機関が禁煙治療を行っています。
この記事では、禁煙外来は何科で受けられるのか、診療科ごとの特徴、保険で禁煙治療を受けられる医療機関の探し方、かかりつけ医に相談するときのポイントを解説します。
「禁煙外来」という診療科はない
医療機関が看板や案内に掲げる診療科名(標榜診療科)は、法令で定められた範囲の名称に限られています。「内科」「呼吸器内科」「循環器内科」などがその例で、「禁煙外来」はこの診療科名には含まれていません。
禁煙外来とは、あくまで禁煙治療を行う外来の呼び名です。内科などの診療科を持つ医療機関が、その中で禁煙治療を行っており、それを「禁煙外来」として案内している、と考えるとわかりやすいでしょう。曜日や時間を決めて「禁煙外来」の枠を設けている医療機関もあれば、通常の内科外来の中で禁煙治療を受け付けている医療機関もあります。
つまり、受診先を選ぶときに大切なのは「何科か」よりも、その医療機関が禁煙治療を行っているかどうか、保険診療に対応しているかどうかです。禁煙外来そのものの概要は禁煙外来とは?で詳しく解説しています。
禁煙治療を行っていることが多い診療科
禁煙治療を行っている医療機関の診療科は幅広いものの、比較的多いのは次のような診療科です。それぞれの特徴を一覧で見てみましょう。
| 診療科 | 特徴 | こんな人が相談しやすい |
|---|---|---|
| 内科・一般内科 | 身近なクリニックに多く、通いやすい立地のところを見つけやすい | 特に持病がなく、まずは気軽に相談したい人 |
| 呼吸器内科 | 肺や気管支の病気を専門とし、喫煙の影響を受けやすい呼吸器の状態もあわせて相談できる | せきやたん、息切れが気になる人、健診で肺の所見を指摘された人 |
| 循環器内科 | 心臓や血管の病気を専門とし、高血圧や心疾患とあわせて相談できる | 高血圧や不整脈、心臓の病気で通院している人 |
| 心療内科・精神科 | 気分の変化やストレスへの対応も含めて相談しやすい場合がある | ストレスで吸う本数が増えやすい人、気分の落ち込みが気になる人 |
| その他(外科、産婦人科、耳鼻咽喉科など) | 手術前の禁煙指導や妊娠を考える人への支援など、診療内容に応じて禁煙治療を行っている場合がある | 手術を控えている人、妊娠を考えている人など |
上記はあくまで一般的な傾向です。同じ診療科でも禁煙治療を行っていない医療機関もありますし、表にない診療科で禁煙治療を行っている医療機関もあります。受診前に、医療機関のウェブサイトや電話で確認しておきましょう。
内科:まずは身近なクリニックから
禁煙治療を行う医療機関として最も多くみられるのが内科です。住宅街や駅前など身近な場所にあることが多く、仕事帰りや休日に通いやすいクリニックを見つけやすいのが利点です。保険適用の禁煙治療は12週間で計5回の通院が標準とされているため、通い続けやすさは受診先を選ぶうえでの大切なポイントです。
呼吸器内科:せきや息切れが気になる人に
喫煙は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとする呼吸器の病気と深く関係しています。長く吸ってきた方で、せきやたんが続く、階段で息切れしやすいといった症状がある場合は、呼吸器内科で禁煙治療とあわせて相談するのもひとつの方法です。必要に応じて呼吸機能の検査などを提案されることもあります。
循環器内科:高血圧や心臓の病気がある人に
喫煙は、高血圧や心筋梗塞、脳卒中など血管の病気のリスクとも関わっています。すでに循環器内科に通院している方は、主治医に禁煙治療について相談してみるとよいでしょう。心臓や血管の病気がある場合、禁煙補助薬の選び方に配慮が必要になることもあるため、病状を把握している医師に相談できるのは安心材料になります。
心療内科・精神科:気持ちの面のサポートも受けたい人に
ストレスを感じたときに吸う本数が増える、気分の落ち込みがあるといった方は、心療内科や精神科で禁煙治療を行っている医療機関も選択肢になります。精神疾患の治療中の方は、禁煙によって体調や服用中の薬の効き方が変わることもあるため、主治医とよく相談したうえで進めることが大切です。
保険で禁煙治療を受けるには「届出」がある医療機関を選ぶ
禁煙治療は、一定の条件を満たすと健康保険が適用されます。ただし、保険で禁煙治療を行うためには、医療機関側も国の定める施設基準を満たし、地方厚生局(地方厚生支局)に届け出ている必要があります。
そのため、診療科にかかわらず、届出をしていない医療機関では保険による禁煙治療は受けられません。「禁煙外来」と案内していても、自由診療(全額自己負担)のみで行っている医療機関もあります。保険適用を希望する場合は、受診前に「保険で禁煙治療を受けられますか」と確認しておくと安心です。
なお、患者さん側にも、ニコチン依存症の判定や喫煙歴などの条件があります。詳しくは禁煙外来の保険適用条件の記事をご覧ください。
禁煙治療を受けられる医療機関の探し方
禁煙治療を行っている医療機関は、次のような方法で探すことができます。
1. 禁煙外来の検索サイトを使う
地域や駅名から、禁煙治療を行っている医療機関をまとめて探せる検索サイトを使うと、候補を比較しやすくなります。当サイトでも、都道府県や市区町村から医療機関を探すことができます。全国の禁煙外来をエリアから探すページから、通いやすい場所の医療機関をチェックしてみてください。
2. 地方厚生局の公開情報を確認する
各地方厚生局(地方厚生支局)では、施設基準の届出を受理した医療機関の情報をウェブサイトで公開しています。禁煙治療に関する項目(ニコチン依存症管理料)を届け出ているかどうかを確認できるため、保険診療への対応を確かめたいときの参考になります。ただし、一覧はファイルの形式や更新時期がまちまちで、一般の方には探しにくい場合もあります。
3. 医療機関のウェブサイトや電話で確認する
候補が見つかったら、医療機関のウェブサイトで禁煙治療の案内があるかを確認し、わからない点は電話で問い合わせましょう。確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
- 保険適用の禁煙治療に対応しているか
- 予約が必要か、禁煙外来の曜日・時間帯が決まっているか
- 処方できる禁煙補助薬の種類と、現在の供給状況
- オンライン診療に対応しているか
- 初診時の持ち物や、当日の注意事項
4. 自治体や職場の情報も参考にする
自治体によっては、禁煙治療を行う医療機関の情報を提供していたり、禁煙治療費の助成制度を設けていたりする場合があります。また、勤務先の健康保険組合が禁煙支援のプログラムを用意していることもあります。住んでいる地域や加入している健康保険の情報も確認してみましょう。
かかりつけ医に相談するのもひとつの方法
すでに定期的に通っている医療機関がある方は、まずかかりつけ医に禁煙の相談をしてみるのもよい方法です。
かかりつけ医に相談するメリット
- 持病や服用中の薬、これまでの検査結果を把握してもらえている
- 禁煙補助薬の副作用が出たときにも相談しやすい
- 持病の定期受診とあわせて通院でき、通院の手間を減らせる場合がある
相談するときの伝え方
次の診察のときに、「タバコをやめたいので禁煙治療について相談したい」と伝えれば十分です。かかりつけ医が禁煙治療を行っていない場合でも、近隣で禁煙治療を行っている医療機関を紹介してもらえることがあります。また、ほかの医療機関で禁煙治療を受ける場合も、持病の主治医に禁煙治療を始めることを伝えておくと安心です。
喫煙をやめると、服用中の薬によっては効き方が変わることがあります。持病のある方は、自己判断で薬の量を変えたりせず、主治医の指示に従ってください。
受診先を選ぶときに迷ったら
「何科に行くか」で迷ったときは、次のように考えると整理しやすくなります。
- 持病で通院中の医療機関がある:まずは主治医に相談する
- せきや息切れなど気になる症状がある:呼吸器内科など、症状に合った診療科を選ぶ
- 特に持病や気になる症状がない:通いやすい内科のクリニックを中心に探す
- 平日の日中に通院するのが難しい:夜間・土曜診療やオンライン診療に対応している医療機関を探す
どの診療科であっても、保険で禁煙治療を受けられるかどうか、12週間の通院を続けられるかどうかを確認することが大切です。医療機関選びのポイントは禁煙外来の選び方でも詳しく紹介しています。
通院の時間がとりにくい方は、オンライン診療を活用する方法もあります。対応状況や保険適用の扱いは医療機関によって異なるため、事前に確認しましょう。
まとめ
「禁煙外来」は診療科の名前ではなく、禁煙治療を行う外来の通称です。内科、呼吸器内科、循環器内科、心療内科などさまざまな診療科の医療機関が禁煙治療を行っており、診療科そのものよりも、禁煙治療を行っているか、保険診療の届出があるかを確認することが大切です。
持病がある方はかかりつけ医への相談から、特に持病がない方は通いやすい内科のクリニックから探してみてはいかがでしょうか。全国の禁煙外来をエリアから探すページから、お近くの医療機関を探すことができます。
この記事のポイント
- 「禁煙外来」は診療科名ではなく、禁煙治療を行う外来の通称
- 内科、呼吸器内科、循環器内科、心療内科・精神科などで禁煙治療を行っていることが多い
- 保険で治療を受けるには、医療機関が施設基準の届出をしている必要がある
- 検索サイト、地方厚生局の公開情報、医療機関への問い合わせなどで受診先を探せる
- 持病で通院中の方は、まずかかりつけ医に相談するのもよい方法
本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の可否や費用、使用できる薬剤は医療機関によって異なるため、最新の情報は受診先の医療機関にご確認ください。