「禁煙外来に興味はあるけれど、結局いくらかかるのかがわからない」「病院で治療するとなると高くつきそう」。禁煙外来の受診をためらう理由として、費用の不安を挙げる方は多いのではないでしょうか。特に、家計を預かる立場の方や、毎月のタバコ代に加えて出費が増えるのが気になる方にとっては、事前に目安を知っておきたいところです。
禁煙外来の費用は、健康保険が使えるかどうか、処方される薬の種類、通院の回数などによって変わります。保険適用の場合は自己負担を抑えられ、実は「タバコを吸い続けた場合の出費」と比べると、それほど大きな負担ではないケースも少なくありません。
この記事では、禁煙外来の費用の目安と内訳、保険適用と自由診療の違い、タバコ代との比較、費用を抑えるためのポイントをわかりやすく解説します。
禁煙外来の費用の目安はいくら?
保険適用の禁煙治療は、12週間で計5回の診察を受けるのが標準的なプログラムです。この12週間の治療をすべて受けた場合、自己負担3割で約1万3千円〜2万円程度が目安とされています。
金額に幅があるのは、処方される禁煙補助薬の種類や、医療機関ごとの診療内容・検査などによって費用が変わるためです。また、自己負担割合が1割や2割の方は、これより負担が少なくなります。
| 治療の種類 | 自己負担の考え方 | 12週間の費用の目安 |
|---|---|---|
| 保険適用の禁煙治療 | 原則3割負担(年齢や所得により1〜2割) | 約1万3千円〜2万円程度(3割負担の場合) |
| 自由診療の禁煙治療 | 全額自己負担 | 医療機関が独自に設定するため幅がある |
| 市販の禁煙補助薬 | 全額自己負担 | 製品や使用期間によって異なる |
自由診療の料金は医療機関ごとに自由に設定されているため、一律の相場を示すのは難しいのが実情です。保険適用の場合より高くなることが一般的なので、受診前に総額の目安を確認しておきましょう。
禁煙外来の費用の内訳は?
禁煙外来でかかる費用は、大きく分けて「診察・指導の費用」と「薬の費用」の2つです。
診察・指導の費用
毎回の診察では、医師による問診や禁煙指導、呼気中の一酸化炭素(CO)濃度の測定などが行われます。初診時は問診や説明に時間がかかるため、2回目以降の再診より費用が高くなる傾向があります。医療機関によっては、ほかの検査を行う場合や、持病の診察をあわせて受ける場合に、別途費用がかかることもあります。
禁煙補助薬の費用
禁煙外来で処方される主な禁煙補助薬には、飲み薬(バレニクリン)と貼り薬(ニコチンパッチ)があります。どちらを使うかによって薬代が変わり、それが総額の違いにつながります。
飲み薬のバレニクリンは、2021年以降に出荷停止が続いた経緯があり、供給状況は時期によって変わります。受診時点でどの薬が処方可能かは、受診先の医療機関で確認してください。薬の種類ごとの特徴は禁煙補助薬の種類と特徴で詳しく紹介しています。
1回あたりの支払いイメージ
12週間の総額を一度に支払うわけではなく、通院のたびに診察料と、その回に処方される薬の代金を支払うのが一般的です。初診時や、薬がまとめて処方される回は支払額が大きくなりやすく、終盤の診察では小さくなる傾向があります。1回ごとの支払額の目安を知りたい場合は、予約時に医療機関へ問い合わせるとよいでしょう。
保険適用と自由診療の違いは?
禁煙外来の費用を大きく左右するのが、保険が使えるかどうかです。
保険適用になるための条件
保険適用の禁煙治療を受けるには、ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)で5点以上であること、35歳以上の場合はブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること、ただちに禁煙したいという意思があること、治療について文書で同意することなどの条件があります。過去に保険で禁煙治療を受けた方は、前回の初回診察日から1年経過していることも必要です。
詳しくは禁煙外来で保険が適用される条件の記事でセルフチェックの方法とあわせて解説しています。
自由診療になる主なケース
- 保険適用の条件(ブリンクマン指数など)を満たしていない
- 前回の保険適用の禁煙治療から1年が経過していない
- 保険診療の施設基準を届け出ていない医療機関で治療を受ける
- 自由診療のオンライン禁煙外来を利用する
自由診療の場合、治療費は全額自己負担です。料金体系も「診察料+薬代」の方式や、一定期間分をまとめたプラン方式など、医療機関によってさまざまです。料金に何が含まれているか(診察料、薬代、送料など)を事前によく確認しましょう。
通院の負担を減らしたい方は、オンライン診療を検討するのもひとつの方法です。保険適用の治療でオンライン診療を組み合わせられる場合もありますが、初診の扱いや医療機関の対応状況によって異なります。詳しくは禁煙のオンライン診療をご覧ください。
タバコを吸い続けた場合の出費と比べるとどうなる?
禁煙外来の費用を考えるときは、「このままタバコを吸い続けた場合にいくらかかるか」と比べてみるとイメージしやすくなります。ここでは、1箱(20本)600円と仮定して試算してみます。実際のタバコの価格は銘柄や時期によって異なるため、ご自身が吸っている銘柄の価格に置き換えて考えてみてください。
| 期間 | 1日1箱(20本)の場合 | 1日半箱(10本)の場合 | 禁煙外来(保険適用・3割負担) |
|---|---|---|---|
| 1か月(30日) | 約18,000円 | 約9,000円 | ― |
| 12週間(84日) | 約50,400円 | 約25,200円 | 約1万3千円〜2万円程度が目安 |
| 1年(365日) | 約219,000円 | 約109,500円 | ― |
| 10年 | 約2,190,000円 | 約1,095,000円 | ― |
1日1箱吸う方の場合、禁煙外来の治療期間と同じ12週間だけでも、タバコ代は約5万円になります。保険適用の禁煙治療の費用の目安と比べると、タバコ代のほうが大きいことがわかります。
さらに、タバコにかかる出費はタバコ代だけではありません。ライターや灰皿などの小物、加熱式タバコであれば本体やメンテナンス用品の費用もかかります。喫煙による健康への影響を考えると、将来の医療費や、生命保険料(非喫煙者向けの割引がある商品もあります)などにも差が出る可能性があります。
もちろん、禁煙外来に通ったからといって誰もが禁煙できると言い切れるものではありません。ただ、同じ金額を「タバコを吸い続けるため」ではなく「タバコをやめるため」に使うと考えると、受診のハードルが少し下がるのではないでしょうか。
禁煙外来の費用を抑えるためのポイント
保険適用の条件を満たしているか確認する
最も効果的なのは、保険適用の禁煙治療を受けることです。受診前に条件をセルフチェックし、保険診療に対応している医療機関を選びましょう。全国の禁煙外来をエリアから探すページから、お近くの医療機関を探すことができます。
12週間のプログラムを最後まで受ける
途中で通院をやめてしまうと、それまでにかかった費用が無駄になってしまうだけでなく、再喫煙のリスクも高まります。また、保険適用の禁煙治療は、前回の初回診察日から1年以上たたないと再び保険で受けられません。一度で成果につなげるためにも、予定された診察はできるだけ受けるようにしましょう。
医療費控除の対象になる場合がある
医師の診療を受けて行う禁煙治療の費用は、医療費控除の対象となる場合があります。1年間の医療費の合計が一定額を超えると確定申告で所得控除を受けられるため、禁煙外来の領収書は保管しておきましょう。対象となるかどうかは、税務署などで確認してください。
健康保険組合や自治体の助成制度を調べる
勤務先の健康保険組合や自治体によっては、禁煙治療の費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。加入している健康保険組合のウェブサイトや、自治体の窓口で確認してみるとよいでしょう。
「安く手に入る」として、処方薬と同じ成分の医薬品を海外から個人輸入する方法を紹介するサイトもありますが、偽造品や品質不良による健康被害のリスクがあり推奨されません。個人輸入した医薬品による健康被害は公的な救済制度の対象外となる点にも注意が必要です。禁煙補助薬は医師の診察のもとで使用しましょう。
禁煙外来の費用に関するよくある質問
初診だけ受けて、様子を見ることはできる?
初診だけ受けることも可能ですが、禁煙治療は12週間のプログラム全体で取り組むことを前提としています。費用や通院について不安がある場合は、初診時に医師へ相談しておくと、見通しを立てやすくなります。
途中で禁煙に失敗したら費用は無駄になる?
治療中に1本吸ってしまったとしても、そこで治療が終わるわけではありません。医師と相談しながら治療を続けることで、立て直せる可能性があります。「吸ってしまったから行きにくい」と感じても、次の診察は予定どおり受けることが大切です。
禁煙外来に通っている間のタバコ代はどうなる?
飲み薬の場合は、服用開始から1週間程度はタバコを吸いながら薬を飲み、その後に禁煙を始めるのが一般的です。禁煙を始めた後はタバコ代がかからなくなるため、治療期間中から家計への効果を実感できる方もいます。禁煙外来の全体的な流れは禁煙外来とはの記事で解説しています。
まとめ
禁煙外来の費用は、保険適用の場合、12週間・計5回の治療で自己負担3割なら約1万3千円〜2万円程度が目安です。処方薬の種類や医療機関によって金額は変わり、自由診療の場合は全額自己負担となります。
1日1箱吸う方なら、12週間のタバコ代だけで約5万円(1箱600円で試算)になることを考えると、禁煙外来の費用は決して高すぎるものではないといえるでしょう。まずは保険適用の条件を確認し、全国の禁煙外来をエリアから探すページで見つけたお近くの医療機関に、費用の目安を問い合わせてみてはいかがでしょうか。
この記事のポイント
- 保険適用の禁煙治療(12週間・計5回)は3割負担で約1万3千円〜2万円程度が目安
- 費用は診察・指導料と薬代が中心で、処方薬の種類や医療機関によって異なる
- 自由診療は全額自己負担で、料金体系は医療機関ごとにさまざま
- 1日1箱(600円で試算)なら12週間のタバコ代は約5万円
- 医療費控除や健康保険組合・自治体の助成制度も確認を
本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の可否や費用、使用できる薬剤は医療機関によって異なるため、最新の情報は受診先の医療機関にご確認ください。