「禁煙外来に通いたいけれど、できるだけ費用は抑えたい」「禁煙治療に補助が出ると聞いたけれど、自分も使えるのだろうか」――禁煙を考えるとき、費用の負担が気になる方は多いのではないでしょうか。住宅ローンや教育費など、出費がかさみやすい30〜50代ならなおさらです。
実は、お住まいの自治体や加入している健康保険組合、勤務先によっては、禁煙治療の費用を補助する制度が用意されている場合があります。この記事では、禁煙治療に使える可能性のある助成・補助制度の種類と調べ方、申請前に確認しておきたい条件、医療費控除の考え方を解説します。
禁煙治療の費用はどのくらい?まずは基本をおさらい
保険適用の条件を満たせば、禁煙外来の治療(12週間で計5回の診察が標準)は、3割負担でおおむね1万数千円〜2万円程度が目安とされています。使用する薬や医療機関によって金額は異なり、自由診療の場合は全額自己負担となります。
費用の内訳やタバコ代との比較は、禁煙外来の費用はいくら?で詳しく解説しています。この記事では、その自己負担分をさらに抑えられる可能性のある制度を見ていきましょう。
禁煙治療に使える可能性のある助成・補助制度
禁煙治療に関する費用の支援は、主に次のような実施主体によって行われていることがあります。いずれもすべての地域・保険者・企業で実施されているわけではなく、内容や条件は実施主体ごとに大きく異なります。
| 実施主体 | 支援の例 | 対象になりやすい人の例 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 自治体(市区町村など) | 禁煙外来の治療費の一部を助成する制度 | その自治体に住民登録があり、条件を満たす人 | 自治体のホームページ、保健センター・健康づくり担当の窓口 |
| 健康保険組合など(保険者) | 治療費の補助、禁煙支援プログラムの提供 | その保険に加入している本人や家族 | 保険証に記載の保険者のホームページ、案内冊子 |
| 勤務先(企業) | 治療費の補助、就業時間中の受診への配慮、社内の禁煙支援 | その会社の従業員 | 人事・総務部門、産業医、社内の福利厚生制度 |
| 税制(国) | 医療費控除による所得控除 | 1年間の医療費が一定額を超えた人 | 税務署、国税庁の案内 |
自治体の禁煙治療費助成
市区町村などの自治体の中には、住民の健康づくりの一環として、禁煙外来の治療費の一部を助成しているところがあります。受動喫煙の防止や、生活習慣病の予防を目的としていることが多いようです。
よく見られる条件の例
条件は自治体によって異なりますが、たとえば次のような項目が設けられていることがあります。
- その自治体に住民登録があること
- 保険適用の禁煙治療を受けること(自由診療は対象外とされる場合がある)
- 決められた回数の診察を受け、治療を終えていること
- 禁煙できたことの確認(医療機関の証明など)を求められること
- 年齢や、妊娠中の方・子どもと同居している方など対象者が限られていること
- 申請期限や、年度ごとの予算・募集人数が決まっていること
受診前に申請が必要な場合もある
自治体によっては、治療を始める前に申請や登録が必要なケースがあります。治療が終わってから制度を知っても、対象外になってしまうことがあるため、受診を決めたら早めに確認しておきましょう。助成金額や上限額も自治体ごとに異なります。
調べ方のポイント
お住まいの自治体のホームページで「禁煙」「禁煙外来」「禁煙治療 助成」などのキーワードで検索するか、保健センターや健康づくりを担当する課に問い合わせてみましょう。制度は年度ごとに見直されることがあるため、最新の情報を確認することが大切です。
健康保険組合などの補助
会社員の方が加入する健康保険組合などの保険者の中には、加入者の健康づくりを支援するため、禁煙治療の費用を補助したり、独自の禁煙支援プログラムを用意したりしているところがあります。
補助の形はさまざま
- 禁煙外来で支払った自己負担額の一部を補助する
- 禁煙に成功した人に補助を行う
- オンラインでの禁煙支援プログラムを無料または低額で提供する
- 被扶養者(家族)も対象に含める
いずれも保険者によって内容が大きく異なり、実施していない保険者もあります。保険証に記載されている保険者名を確認し、そのホームページや、送られてくる広報誌・案内冊子をチェックしてみましょう。わからない場合は、保険者に直接問い合わせるのが確実です。
会社(勤務先)による支援
近年は、従業員の健康を経営の視点から考える「健康経営」に取り組む企業が増えています。その一環として、禁煙を支援する制度を設けている会社もあります。
- 禁煙外来の治療費を補助する
- 就業時間中に禁煙外来を受診しやすいよう配慮する
- 産業医や保健師による禁煙相談を行う
- 社内で禁煙チャレンジなどの取り組みを実施する
こうした制度は、社内のイントラネットや就業規則、福利厚生の案内に掲載されていることがあります。人事・総務部門や産業医に確認してみましょう。健康保険組合と会社が連携して実施している場合もあります。
医療費控除の対象になる場合も
医師の診療を受けて行う禁煙治療の費用は、医療費控除の対象となる場合があります。医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得控除を受けられる制度です。
医療費控除の基本的な考え方
- 原則として、1年間の医療費の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満の方はその5%)を超えた部分が対象になる
- 自分だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できる
- 助成金や補助金を受け取った場合は、その分を差し引いて計算する
- 会社員でも、医療費控除を受けるには確定申告が必要
禁煙治療の費用がどこまで対象になるか、市販の禁煙補助薬の購入費が対象になるかなどは、ケースによって判断が異なることがあります。具体的な扱いは税務署などで確認してください。禁煙外来の領収書や、薬局のレシートは捨てずに保管しておきましょう。
制度を利用するときの注意点
条件や金額は実施主体ごとに異なる
インターネット上には、特定の地域の助成制度の情報が掲載されていることもありますが、それが自分の住む地域や加入している保険にあてはまるとは限りません。また、制度は年度ごとに変わることがあります。利用を考える際は、実施主体の最新の情報を確認しましょう。
保険適用の治療が条件になっていることが多い
助成や補助の多くは、保険適用の禁煙治療を受けることを前提にしています。自分が保険適用の条件を満たしているかは、禁煙外来の保険適用条件で確認できます。受診する医療機関が保険診療に対応しているかも、事前に確認しておきましょう。
領収書・証明書を保管しておく
申請には、医療機関の領収書や診療明細書、治療の修了や禁煙の確認に関する証明書などが必要になることがあります。証明書の発行に費用がかかる場合や、医療機関によって対応が異なる場合もあるため、受診時に「助成制度を利用したい」と伝えておくとスムーズです。
「安さ」だけで治療方法を選ばない
費用を抑えたいからといって、禁煙補助薬を海外から個人輸入したり、正規でない通販で購入したりすることは推奨されません。偽造品や品質の問題による健康被害のリスクがあり、副作用が出たときに適切な対応を受けにくくなります。禁煙補助薬は医師の診察のもとで使用しましょう。
制度を調べて受診するまでの流れ
- 保険適用の条件を満たしているかセルフチェックする
- 自治体・保険者・勤務先に、利用できる制度があるか確認する
- 制度がある場合は、対象条件・申請時期・必要書類を確認する(事前申請が必要かどうかも確認)
- 保険診療に対応した禁煙外来を探して予約する
- 受診時に助成制度を利用したいことを伝え、領収書などを保管する
- 治療終了後、期限内に申請する
通いやすい医療機関は、全国の禁煙外来をエリアから探すから検索できます。
禁煙治療の助成・補助に関するよくある質問
オンライン診療での禁煙治療も助成の対象になりますか?
対象になるかどうかは、制度ごとに異なります。保険適用の治療であればオンライン診療も対象とする制度もあれば、対象医療機関を地域内に限っている制度もあるかもしれません。オンライン診療を検討している方は、申請前に実施主体に確認しておきましょう。
禁煙に失敗した場合でも助成は受けられますか?
制度によっては、治療を最後まで受けたことや、禁煙できたことを助成の条件にしている場合があります。一方で、治療を受けたこと自体を対象とする制度もあり得ます。条件をよく確認し、決められた回数の診察を最後まで受けることを目指しましょう。
市販のニコチンパッチやガムの購入費も補助されますか?
多くの助成制度は医療機関での治療を対象としていますが、制度によって扱いは異なります。市販薬を使う場合は、購入前に対象となるかを確認し、レシートを保管しておくと安心です。
まとめ
禁煙治療の費用は、自治体の助成、健康保険組合などの補助、勤務先の健康づくり支援によって、負担を抑えられる場合があります。また、医師の診療による禁煙治療の費用は、医療費控除の対象になる場合もあります。
ただし、こうした制度はすべての地域・保険者・企業で実施されているわけではなく、条件や金額も実施主体ごとに異なります。事前申請が必要なケースもあるため、受診を決めたら、まずはお住まいの自治体のホームページや保険者、勤務先に確認してみましょう。
この記事のポイント
- 一部の自治体では、禁煙外来の治療費を助成していることがある
- 健康保険組合などの保険者や、健康経営に取り組む企業が補助を行う場合もある
- 条件や金額は実施主体ごとに異なり、事前申請が必要なこともある
- 禁煙治療の費用は医療費控除の対象になる場合がある(詳細は税務署などで確認)
- 費用を抑える目的でも、禁煙補助薬の個人輸入は推奨されない
本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の可否や費用、使用できる薬剤は医療機関によって異なるため、最新の情報は受診先の医療機関にご確認ください。